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生きている土が相手だから、レシピはない

2011.12.23

中塗りでまた壁を乾かし、いよいよ上塗りをして仕上げをする。この間、一貫して土の配合は、親方がやっていた。どうして他の人はやらないのかと聞くと、「これだけは、長年の勘でやらないと、無理だねえ。よく、土とスサや砂の配合のレシピをつくってくれないかと言われるが、相手は生きている土だ。配合を決めてそのとおりにしようと思っても、その時の調子で、どうもうまくいかない。あんばいを見ながらでないと、こればかりは失敗する」料理のレシピのように、何が何グラムと決めておけば、誰にも同じものがつくれるというわけにはいかないようだ。

[参考情報]
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時間をかけて熟成させた上は、親方が言うように生きている。だから、その熟成具合に応じた配合を、そのつど、考えなくてはならないのだ。土の顔色を見ながら配合をしていかないと、思いどおりの色や質感、風合いが出ないのだという。どんなレシピも、半世紀以上にわたって土壁と格闘し、鍛えてきた親方の勘にはかなわない。ミキサーの前に立つ親方の姿が頼もしく見えると同時に、こうした職人の勘を第一にする仕事は、今の日本ではいつかは無くなる気がする。